ロストプロフェッツのイアン・ワトキンスに懲役35年の実刑判決

ロストプロフェッツのイアン・ワトキンスに懲役35年の実刑判決

元ロストプロフェッツのイアン・ワトキンスが児童や乳児への性的虐待容疑を問われていた裁判で、イアンは懲役35年の刑を言い渡された。判決は12月18日にカーディフ刑事裁判所で行われ、ロイス判事により29年の刑とさらに6年の刑を加えられ、仮釈放までは刑期の3分の2を務めなければならないと言い渡された。

イアンと共に起訴されていた共犯者で氏名が伏せられていた母親A、母親Bとされた女性2名はそれぞれに14年と17年の実刑を言い渡された。

ロイス判事はイアンが女性2名と子供たちに取り返しのつかない犠牲を要求したとし、イアンと女性2名らは前代未聞の堕落の深淵へと落ち込んだと述べ、今回の事件はそのあまりにの過激さゆえに「まったく新しい領域をもうけてしまった」と語った。「事件の証拠を見たり聞いたりした人はまともな人なら誰でもショック、嫌悪感、怒りと信じがたさに襲われることでしょう」と判事は法廷に告げた。

また判事はイアンが自身の保護官に対して自分が逮捕されていなければ児童への虐待がどこまで及んでいたものかわからないと語っていたことも明らかにし、イアンには自身の行為についての「自責の念が完全に欠如していて」そうした行為に対して「明らかに快楽を見出していた」とも判事は説明した。判決の言い渡しの間、イアンは身体を震わせていたと伝えられている。

また、判事はイアンとAとされた女性に対して、二人が製作したイアンがAの子供を犯そうとする映像について「胸の悪くなる、理解の範疇を越えたもの」であると述べ、Aは自身の子供の信頼を「裏切った」と説明した。

さらに法廷では被害者となった児童が事件についてなにも憶えていないことが公判中に明らかにされているが、判事は児童らが成長していく過程でいずれ記憶が蘇ることもあるだろうと指摘し、次のように語った。「この行状はすべてにおいて、被告の関心や欲望を満たすためにかつて無垢だった少年に行われた、おぞましい虐待の症例が揃っています」

女性Bについて判事はイアンとBとの間でやりとりされたメッセージの内容は常軌を逸したものになっていて、二人が子供を「性欲の対象」としてのみ見ていたと説明している。

さらにイアンは11月26日に法廷で罪状を認めた後、拘置所から電話をかけていたというが、その時の会話で、判決を受けた際には「メガウケる。みんな何をそんなに目くじらを立てているのかわからない」という内容の声明を発表したいと語っていたことも明らかになっている。

また、電話の相手の友人にイアンは今回の容疑について「医学的な根拠がなく」、「誰にも危害は及んでいない」と言い張ったことも明らかになっていて、「俺は小児性愛者じゃないし、違うから。罪状を認めたのは、これ以上裁判を続けたくなかったからで、『ちょっと待ってよ、これじゃあ自分が疑わしく思えるな』ってことにその時は気がつかなかったんだ。でも、俺が人を傷つけようとするわけないじゃん」と語ったという。さらに事件が今でも「メガウケる」と思うのかと訊かれると、今ではただ「ウケる」と答えているという。

しかし、イアンの国選弁護人であるサリー・オニールはイアンが今では自分の行いについて謝罪したがっていると訴え、「被告人は、今ではこれまで起きてしまったことに対して本当に深く申し訳なく思っていることをあえて表明したいとしています。被告人にはまだすべてを認めるのに困難を感じていますが、今回起きてしまったことの現実がわかり始めています」と弁護した。

さらにイアンが乳児への強姦を試みた様子を収録したビデオについては「被告人はそれを観て、非常にショックを感じていて、自分がそのような行為に携わっていたことが信じられない様子でした」と弁護人は語った。

また、弁護人はイアンが極端なほどに誹謗中傷を受け続けているとしていて、「24時間週7日」の単位でファンから非難の絨毯爆撃を受けていて、ファンらは「おぞましい堕落的な内容の妄想」をメッセージとしてイアンに今も送り続けていると説明した。さらに現在ではイアンが事件を悔恨していることを次のように訴えていた。

「被告人は遅まきながら起きてしまったことの重みを自覚し始めています。被告人はアルコールと薬物に関してこれまで抱えてきた問題を解決したいとしていますが、今回の事態を自身で引き起こしたことも認めていて、起きてしまったことについて反省し、嘆かわしく感じていることを明らかにしています」

「自身の家族や知人、今も被告を支えている人々を含め、周囲の人々を巻き込んだことを被告人は恥じ入り、申し訳なく思っています」

その一方で女性Aの弁護団はAが「傷つきやすい少女」だったことを強調し、「操られ、自ら堕落していった」としていて、イアンに「暗い場所へと連れて行かれることになった」としている。また、弁護団はAがイアンを追っかけていた「熱狂的なファンではなかった」としていて、現在では自身の所業を「深く自責している」と法廷に訴えた。

イアンがAの子供を犯そうとしているビデオについてAの国選弁護人ジョナサン・フラーは「被告人(A)は子供の母親であり、ビデオを観て窺われるのはこの映像が過激なのはここで行われている性的行為そのものよりは、この映像にこの年齢の児童が母親とともに映っているということです」と述べた。

「現在被告人が嘆かわしく感じていることはまさにそのことであり、そうしたことに及んだことを、母親であれば当然のことですが、深く反省しています」

その一方で女性Bはイアンの熱狂的なファンだったとことが明らかにされていて、警察に逮捕された時にもBのiPodにはイアンの画像が1200点保存されていたという。Bの国選弁護人クリスティーン・レインは被告は「極度に未成熟な女性」で、産後鬱に悩まされ、イアンと出会った当時には人格障害にも見舞われていたと説明した。

昨年の夏に被告Bとイアンとの間に交わされた会話の抜粋も法廷で読み上げられ、その中でBが「あなたはすごい人よ、あなたはイアン・ワトキンスなんだから」とイアンに伝えたのに対してイアンは「そうだ、俺はそうなんだからおまえとおまえの娘は俺のものだ」と答えたという

解散したロストプロフェッツの元ヴォーカルだったイアン・ワトキンスは当初自身にかけてられていた容疑について激しく否定していたというが、公判が始まると罪状認否で罪状を認めた。イアンは判事に自身でも認める小児性愛者だと断定され、ともに起訴されていた女性被告2名も数々の容疑を認めていた。

ロストプロフェッツはイアンの逮捕を受けて、10月に解散を発表している。ロストプロフェッツは1997年にウェールズのポンテブリードで結成され、00年にファースト・アルバム『ザ・フェイク・サウンド・オヴ・プログレス』をリリース。最新作は12年にリリースした5枚目のアルバム『ウェポンズ』だった。

(c) NME.COM / IPC Media 2013
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