ブレないメッセージ

サージ・タンキアン『切腹』
2012年07月11日発売
ALBUM
サージ・タンキアン 切腹
システム・オブ・ア・ダウンのフロントでありソロやさまざまな名義での創作活動に加えレコード会社運営、またトム・モレロと一緒にNPO団体“Axis of Justice(正義の枢軸)”に関わるなどさまざまな方向に枠を広げるサージ・タンキアンの新作が『切腹(HARAKIRI)』というタイトルなのにまずドキッとする。“地球上のさまざまな種が環境の継続性への危機感を抱き尊厳ある自殺ハラキリ(切腹)をしてる”という発想から付けられたそうだが、中身は彼の持つ怒りや不安を反映したものとなっており、とくにタイトル・トラックはカオスを音化したオープニングからじっくりと迫り最後はきっちりと歌い上げる感動もの。

ストレートなパンク・ヘヴィ・ロックもあれば内省的なものや素直に美しい曲もあったりと多彩で、中にはiPadで作曲したというそれっぽい曲もあるところが新鮮。そしてそこに被るメッセージは常に明確という理想的な形でまとめられているし、腰の位置がかっちりとしているから全体のブレがなくそれがアルバムとしての強さとなっている。『切腹』というタイトルが完全に適切かどうかは微妙だが。(大鷹俊一)
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