TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』EDテーマで、作詞作曲プロデュースを凛として時雨のTKが務める楽曲。まず、3分36秒という尺の中に一体何曲分だろうかというアイデアがちりばめられ、これでもかと多様に展開していく曲構造の異質さに意識を持っていかれる。キャッチーな短い尺が毎週放映されることで世に浸透していくTVアニメとのタイアップの旨味にあえて背を向け、むしろ聴き手に簡単に消費させまいとする不敵さがなんともスリリングで興奮してしまう。そして、なんといってもめくるめく曲展開に合わせてボーカリゼーションを細かく変化させ対応するアイナの歌唱が見事である。曲の強い個性に自らの個性をぶつけ合わせるのではなく、溶け合わせて新たな色を生み出し、静と動、絶望と希望を行き来する複雑な曲世界を自然に表現し切っている。情報量の多さに圧倒されつつも繰り返し繰り返し聴きたくなるのは、このボーカルの仕上がりの滑らかさによるところが大きいと思う。1曲と言わずこのままTKとアイナとのタッグでアルバムまで、と思ってしまうのは、贅沢な願いだろうか。(長瀬昇)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)
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