ますます磨きをかけたキレとコク

ディアフーフ『ザ・マジック』
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ALBUM
ディアフーフ ザ・マジック
通算14作目。つい先日にはシカゴの現代音楽集団ダル・ニエンテとのコラボ作を発表したばかりのディアフーフだが、近年はその活動から、とみに充実した創作ぶりが窺える。それは今作においても相変らずで、全15曲で40分というコンパクトな体裁ながら、各楽曲で披露される演奏の凝縮されたテンションの高さは、さすが。1年半前の前作『ラ・イスラ・ボニータ』はライヴ録音だったが、今回も同様にロウで削ぎ落とされたサウンドが醍醐味と言えそう。シンセやエレクトロニクスも随所に飾るが、軸となるのはあくまで2本のギターとベース、ドラムからなる4ピースのタイトなバンド・アンサンブル。その点で、今作で特別耳をひくのは“ザット・エイント・ノー・ライフ・トゥ・ミー”や“ディスポゼッサー”といった荒削りなガレージ・ロック・ナンバー。無論、“カフェ・マニア!”や“ナース・ミー”のような緩急の効いた展開で錐揉みする「ディアフーフ節」も健在だが、この、『オフェンド・マギー』(08年)以降の現編成のエッジをストレートに伝える熱気は、得難い。結成20周年を経て、さらに加速を続ける彼らを象徴するような出来栄えだ。(天井潤之介)
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